卓球ラケット開発の悲喜こもごも(3)

真円型ブレードの限界

WINGSPANは木工職人の他、6名のクリエイティブで卓球に関心のあるメンバーに支えられています。写真の真円型ブレードの性能を追求していた時に急転直下の出来事が起こりました。それはシェークバック粒高のメンバーが海外の粒高ラバーを試したいとのことでラバーを持ってきたのですが、ラバーを貼ろうとした際、なんとラバーの横の長さが足りませんでした。この時は、かなり焦りました。

真円型ブレードは、横の長さが約164mmほどありました。これは、最低限ほしい縦の長さと重量の関係から導き出された、ある意味、付随した結果の横の長さ164mmでした。念のため国内のメーカーのラバーの横の長さや、国内メーカーの守備型ラケットの横の長さの最長値などをカタログを見て徹底的に調査しました。

その結果、真円型ブレードを追求することは、適切な判断ではないとの結論に至りました。この判断に至る理由は、ブレードの横の長さが長すぎるという表面的なことだけでなく、もっと根本的な問題も内在していました。それは、皆さんもお気づきだと思いますが、ブレードが真円であることが、卓球競技においてまるで効果的ではありませんでした。卓球ブレードにおいて縦の長さと横な長さをほぼ同じにする必然性が無かったわけです。打球するうえで必然性のない、横の長さが長いとフォア裏、バック裏でラバーを両面に貼れば、それなりの重量にもなっていました。

また、以前グリップを含めたラケットの面積が小さいといういうことが、攻撃用ラケットの特徴を際立たせると書きましたが、反面、ブレードとグリップが近いことのデメリットに試打を通して気づくことになりました。それは次の機会に書くこととして、ともかく、デザインを優先した真円型ブレードの無理筋がここに来て限界を迎えることになりました。(つづく)