カーブラインの特性を再考する

すっかり春になりました。別れと出会いのシーズンです。卓球を通じて子供を長い期間見ていると、人間的にも卓球の技術的にも驚くほど発達したり成長したりすることを痛感する。ラケットに振り回されていた小さな子供が立派になった姿を見るととても嬉しい。

さて、今回は最近いただいた質問に答えたいと思う。非常に良質の質問に思えたので弊社としては誠実に回答したい。


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Q:カーブラインは威力のあるボールに対し、面が押されて安定しないのではないか?

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この回答を導きだすために、以下のラケットを使用した。


ニッタク ルーティスJ
ニッタク 双 MF R
バタフライ サイプレスJP1-S
ogawa 卓聖
akkadi (卓球家840)ベイオネット
WINGSPAN ゴルダーズグリーン

せっかくなので、強打に対して、シェークグリップ以外のラケットの押され具合を丁寧に確認した。シェークとペンではペンの方が面が押されやすいのか?シェークとハンドソウではハンドソウの方が面が押されやすいのか、そして、シェークとカーブラインではカーブラインの方が面が押されやすいのか。

ちなみにシェークラケットはティモボルALCを使用。シェーク、非シェークと一本一本ラケットを交代しながら検証した結果として、非シェークラケットは、そもそもシェークとは握り方も力の入れ方も違うという事、非シェークラケットのグリップに合わせた適切な打法が出来れば、シェークに比べて、ペンもハンドソウもカーブラインも威力のあるボールに押されやすいことはないと感じた。結局使用するラケットを使い慣れているかどうかが重要であることは間違いはない。

「カーブラインは威力のあるボールに対し、特別にシェークよりも面が押されて安定しないことはありません。慣れ次第です。」

率直な回答をすると以上であるが、弊社の人間としてカーブラインに慣れすぎてしまっているため、安易な回答にとどまらず、仮にカーブラインが威力のあるボールに対し、面が押されやすいとしたら、どんな要因があるのか、可能性を考えてみた。

一つ思いついたのは、改めて上の非シェークラケットの画像を見ると、カーブラインのグリップが非シェークラケットの中でも特異な事がわかる。シェークも含めてカーブライン以外のグリップが線状だとすると、カーブラインは点になる。線にあって点に無い、あるいは点にあって線に無い、この違いが性能にどのような違いをもたらすかを考えた場合「てこの原理」が一つあるかもしれないと考えた。

「てこの原理」では力点、支点、作用点がある。シェークでもペンでも、自分が触れていないグリップ部分に意味が無いとお感じの人もいるかと思うが、そんなことはなく、自分の触れていないグリップの部分は「てこの原理」力点、支点、作用点そしてそのバランスという概念で考えれば重要な役割を果たしている。一方でWINGSPANのカーブラインシリーズは「てこの原理」でいうところの作用点を打球ポイントとすると、力点と支点がほぼ同一かあるいは、極めて近い部分にあることが大きな特性である。この点での違いは小さくない。

ではこれが実際にどのようにラケットに影響するかというと、スマッシュを強打するのも、ドライブをするのも、他のラケットに比べて、自分の力が極めて相応にラケットに反映されやすいように思う。仮に面が押されやすいとすれば、このあたりの特性が人の感覚によりポイントになるのかもしれない。しかし、この点についてもラケットへの慣れで十分解決するだろう。以上を踏まえて、あらためて質問に回答してみたい。


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Q:カーブラインは威力のあるボールに対し、面が押されて安定しないのではないか?

A:ご質問ありがとうございます。ラケットに慣れれば特別にシェークよりも面が押されて安定しないことはありません。カーブラインは他のラケットと異なり、自由度の高い球型のグリップを採用することにより、圧倒的な自在性を獲得すると共に、自分の力が相応にラケットに反映されやすいという特性を持ちます。特性をいかせばシェークやペンと同じように試合で勝つことができます。興味がありましたら是非、カーブラインをお試しください。どうぞよろしくお願いいたします。

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質問者のおかげで、弊社カーブラインシリーズと他のラケットの違いについて、理解が深まったような気がしている。質問者に感謝致します。

そして、念のため当たり前の話をします。卓球ボールはおよそ3グラムですが、全く待ちをしていないまま、推測していたよりも非常に威力あるボールを受ければカーブラインでも押される感覚は確実にあります。