WINGSPANのカーブラインシリーズは、なぜ思ったより弾むか?


WINGSPANカーブラインシリーズは、販売から時間がたつと共に高い競技レベルを持った方から愛好者までユーザーがゆっくりと拡がっていて、とてもありがたいと思う。
そんななかで、メーカーにいろいろな質問、意見、感想が寄せられている。カーブラインシリーズ使用者(特にミルラ使用者)から「思ったより弾む」という感想が非常に多いため、それに対する回答をしたいと思います。

まず、前提として卓球ラケットのブレードの大きさについて、大きいものより小さい方が弾むということは皆さん理解していると思う。例えば代表的な例として、ニッタクさんの商品のバイオリンとビオンセロはブレードの大きさの違いで攻撃型と守備型の2種類の商品となっている。バイオリンもビオンセロもどちらもの元愛用者として、極めて球持ちの良く打感がソフトな(振動特性の低い)ラケットだと感じているが、やはり打ち比べてみるとブレードを絞った分、バイオリンの方が弾みがある。

この理屈は単純に手に入りやすいべニア板の大きさを変えて卓球ボールを弾ませてみれば、実感としてもつかめると思う。

卓球のラケットがラケット競技でもバドミントンやテニスのラケットと決定的に違うところは色々あるが、ここでは、打球面の素材とグリップについて注目したい。バドミントンやテニスラケットの打球面はガットと呼ばれるものであることに対して、卓球ラケットは打球面はラバーとブレードということになる。そしてグリップについては、バドミントンやテニスラケットは打球面のガットとは全く異なる素材でできている。卓球ラケットの場合は、グリップの部分にもブレードの合板がグリップ形状に切り抜かれ、グリップを構成する素材の一部となっている。
つまり何が言いたいかというと、卓球ラケットは打球面とグリップが極めて高く影響しあう構造体であるということだ。改めていうこともおこがましい、当たり前と言えば当たり前の話である。

弊社カーブラインシリーズと他社の攻撃型シェークラケットの違いについて考察したい。


上の図は、赤い線がWINGSPANのカーブラインシリーズの輪郭、緑色の線が他社のポピュラーな攻撃型シェークの輪郭である。右と左は位置をずらしているだけだ。手書きのため厳密ではないが、大体の大きさ比較はできると思う。

先ほど卓球ブレードは小さい方が弾むこと、また卓球ラケットは構造体としてブレードとグリップが極めて密接にかかわっていることを書いてきた。ここから言えることは、ラケットブレードがより小さければ弾むということだけでなく、ラケットのグリップを含めた総体としてのサイズが弾みに関わってくるということだ。

さてカーブラインシリーズはというと、攻撃型シェークよりもブレードは若干スリムである。そしてグリップを含めた総体としてのサイズは明らかにカーブラインシリーズが絞られていることが上の図からわかる。これだけで、攻撃型の性能が際立つことになる。

カーブラインシリーズ開発で、攻撃用ラケットを作る常識として、当たり前のようにカーボン素材搭載ブレードを製作していたのだが、グリップを含めた総体としてのサイズが絞られたカーブラインシリーズに形が落ち着くと、カーボンが入るとあまりにも弾み過ぎるという現象が起きた。ラケット形状を優先し、そこから引き算する形でミルラとブライターレイターが生み出されました。

カーブラインシリーズはなぜ思ったより弾むか、ご理解いただけたでしょうか。

グリップを含めた総体などと書いてきたが、これも単純に、手に入りやすいべニア板の大きさを変えて卓球ボールを弾ませてみることと原理的には同じ話になります。