残響のメロディ

私の所属する卓球チームは歴史のあるチームで、30年を超える活動に対して、今年、協会より表彰されたほどだ。

私がそのチームに所属した時の部長は、私が尊敬する人物の一人であるO氏である。高齢のO氏は、チームをまとめるだけでなく、地域の高齢者で卓球の競技レベルが高すぎない方(!)に限定した100人規模の大会を毎年主催していた。その大会は、とにかく笑顔があふれる素晴らしい大会だった。

私は、地域の子供のクラブチームで指導していたこともあり、所属チームの忘年会でO氏に、O氏主催の大会に子供の参加の許可をお願いしたことがあった。O氏からは、「私は地域の高齢者のつながりを大切にしている、あなたは地域の子供たちのつながりを大切にしなさい。お互いに頑張ろう」との返答があった。大会参加をやんわりと断られたのだが、とても感動したことを思い出す。そして、その時にO氏に求められて握手した情景は忘れられない。薄暗い中華料理屋の2階の片隅でO氏は穏やかに微笑んでいた。

O氏が亡くなったのは、その数年後のことだった。

協会に表彰されたのちの祝賀会で、私は天国のO氏のことをしみじみと思い出した。当時の私には地域の高齢者から慕われるO氏が輝いて見えた。選手としての卓球の強さや、社会的な地位の高さなどとは、まるで次元が異なるところで、O氏が輝いて見えた。そして私は人間にはいろいろな輝き方があることも知ることができた。天国のO氏に対して、私はこれからも感謝しつづけることだろう。


さて、話は変わって、最近、映画を見た。
映画は「残響のメロディ 魂の放浪者ニコ、最後の旅路」
あらすじは以下の通り。

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1986年、イギリス・マンチェスターで暮らす40代後半のニコ(本名:クリスタ・ペーフゲン)は、ドアーズのジム・モリソンの勧めで自分の音楽を始めた時から自分の人生が始まったと感じている。新しいマネージャーのリチャードとバンドと共にヨーロッパツアーへと出発したニコだったが、薬物に依存しており、次々と問題を起こしてしまう。チェコスロバキアでのライブでは、プロモーターが地元当局に自分達のライブの許可を得ず、告知をしていないと知り、不安になるが、ステージに立った途端、観客は大熱狂。しかし、警察の強制捜査が入りライブは中断。ニコたちは危機一髪の状態に陥るが、逮捕を免れ、逃亡に成功する。
母としての後悔と葛藤を抱くニコは、薬物依存と自殺未遂でフランスの更生施設に収容されている息子アリを引き取り、ツアーに同行させるが……。
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マイケル・ジャクソンやフレディー・マーキュリーの映画のように無名時代から人気絶頂に至るまでが描かれる成功物語ではない。

映画の冒頭は少女時代のニコが遠くにベルリンの街が燃えているのを眺めるシーンから始まる。その後、印象的な「These days」の音楽にのせて人気絶頂時代1960年代ニューヨークのニコやウォーホルの実際の映像素材がフラッシュバック映像として使われた後、40代後半のニコの物語が始まる。

この映画は人気絶頂時代をとうに過ぎたアーティストの物語なのだ。
そして、この映画を鑑賞してどうだったかというと・・・。とても面白かった。

結局、人間にはいろいろな輝き方があるのだ。