卓球映画 マーティ・シュプリームは世界をつかめたのか

映画「マーティ・シュプリームー世界をつかめー」を鑑賞した。私の周りの卓球愛好家の中では、全く話題となっていないが、しっかりとした卓球映画である。そして主人公のモデルは実在の卓球選手でもある。私がレイトショーで見たためか、鑑賞者は私含めて2名のみだった。公式HP掲載されている物語のあらすじは以下の通り。
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女たらしで嘘つきで自己中。
だけど卓球の腕前だけはピカ一のマーティ。
NYの靴屋で働きながら、世界チャンピオンになって人生一発逆転を目指す。
そんな中、不倫相手のレイチェルが妊娠、卓球協会からは選手資格はく奪を言い渡される。
万年金欠のマーティはありとあらゆる手を使って選手権への渡航費を稼ごうとするが―。
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卓球映画に日本的な道徳や、努力の末に訪れる栄光を求めるのであれば、この映画は期待に応えないだろう。主人公のマーティの度を越えた破天荒さ、絶えずスリリングな展開、常識的な人間が全く出てこない等、異様な面白さがあり、2時間越えの大作ではあるものの、時間を感じずにエンディングまで見入ってしまった。ただ、間違っても卓球指導者がまじめな生徒を連れて、見に行くようなたぐいの卓球映画ではないので注意して欲しい。
主人公のマーティは誰かに似ていると思って、思い出したのが、団鬼六著「真剣師小池重明」だった。
「真剣師小池重明」はまさに、女たらしで嘘つきで自己中。だけど将棋の腕前だけはピカ一、
また、賭け卓球に興じるマーティと賭け将棋に興じる小池等、色々と共通点も多いように思った。以下は「真剣師小池重明」の紹介文。
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プロよりも強いスゴイ奴がいた!
“新宿の殺し屋”と呼ばれた将棋ギャンブラーが、闇の世界で繰り広げた戦いと破滅。
日本一の真剣師を決める通天閣の死闘など、壮絶な軌跡を描く傑作評伝。
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余談というか、あまり感心されない自慢だが、小池重明が将棋を習った、今は無き名古屋の板谷将棋教室に私は通い詰めていたころがあった。私の輝かしい放蕩時代だ(笑)。板谷将棋教室で朝から1,000円で将棋を指して、夕方になると大須まで歩いて七ツ寺共同スタジオで600円で演劇を見る。この放蕩時代のゴールデンコースは楽しくも豊かでありながら、将来への一抹の不安を抱えていたことが懐かしい。ちなみにこの後、板谷将棋教室に出入りすることになるのは、藤井聡太である。
「真剣師小池重明」のムチャクチャさを面白いと思う方、「マーティ・シュプリームー世界をつかめー」必見です。また単なる娯楽映画にとどまらない、ふと光る歴史的背景の重厚さを垣間見せる場面もあり、侮れません。また、ドイツの皇帝、ティモ・ボルも出演しています。
「マーティ・シュプリームー世界をつかめー」の主役マーティを演じたティモシー・シャラメは、昨年に公開された映画「名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN」でボブ・ディラン役を演じた。こちらの映画も、女たらしで嘘つきで自己中。だけど音楽の腕前だけはピカ一の人の物語である。「名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN」も疾走感あふれる、とても良い作品だと思う。
さて、「マーティ・シュプリームー世界をつかめー」で、主人公のマーティは世界をつかめたのか?
How does it feel?

(画像は映画公式HPより)

